信徒協スマホニュース2024年1-2月号

 

 

 

 真の新しさのため、「妨げ」を超えてみませんか

 

                                                            教区司教 松浦悟郎 

 

  新しい年を迎えました。“新しい”ということは、今までに無かったところにはじめて⾜を踏み⼊れることです。たとえば、今年はこうしようと抱負を持ち、そのために実⾏していくことなどです。ところが、その⼀歩を踏みだすためには、結構強い意志を持たなければ結局踏み出せずに終わってしまうことがあります。⾃分では意識していなくても、それを妨げ“何か”があり、いつもその前で⽴ちどまりUターンしてしまうからです。それが続くと、その「妨げ」がいつの間にかパターン化してしまい、初めから乗り越えようという意志を持てなくなってしまうことさえあるのです。たとえば、「⼦どもたちが教会から離れています。どうしたらいいのだろうか」とか、「平和のために何ができるだろうか」という分かち合いをしても、最後にはいつも「難しいですね」で終わってしまう。もちろん、解答がないので難しいことも事実です。しかし、そこから⼩さくてもいいから本気になって何か⼀歩を踏みだしてみようということはできると思います。考え直さないといけないことは、妨げの前に踏み出さないことが定式化してしまい、何事も無かったかのように分かち合いを終えて⽇常に戻っていくパターンです。

  教皇フランシスコは、シノドスの開会式の時に、歩みの妨げになる三つの誘惑をあげています。①形式主義(聖堂の美しさを⾒るが中に⼊らない)、②主知主義(抽象的な話に時間を費やし⽴派な⽂章ができるが⾃分も共同体も変わらない)、③固定主義(今までこうだったから)という理由で新しいことに踏み込まない。この指摘は、教会でも個⼈の⽣き⽅でも⾔えるかもしれません。⽬指したい⽬標やテーマはいつも考えますが、妨げについてじっくり考える機会はほとんど無いのが現状です。

  ⼀度、先ほどの教皇の3つの誘惑を参考にしながら、⾃分にとって、共同体にとっての「妨げ」について考え、分かち合ったらいいかもしれません。本当に⼀歩前に進むために。

 

 

 

 

     聖パウロ女子修道会の名古屋教区における宣教の歩みを終えて

 

                                                        聖パウロ女子修道会 近藤ルミ子

  昨年、主の降誕の祭日に一足早く聖パウロ書院がその働きを終え、続いて27 日に修道院が約70 年にわたる歩みに幕を下ろしました。皆様からの長年にわたる温かいご支援、心より感謝申し上げます。

  本会の名古屋教区における歩みは当時の教区長であった松岡孫四郎司教様が、本を持って家庭を一軒一軒訪問するという本会の宣教に関心を寄せてくださり、声をかけてくださったのが始まりでした。1954 年1 月7、シスターマリア・ロレンツィーナ・ノタを初代院長として、修道院が瑞穂区大喜町に創設されました。この頃、本会はまだあまり知られておらず、順風満帆のスタートとは言えませんでしたが、若いシスターたちは本を通して「よい便りを運ぶ」使命に燃やされ、神様への信頼のうちにスタートしました。

  当時のおもしろい逸話を一つご紹介します。名古屋に来て間もないシスターたちが「今日は遠くに行きます」と出かけ、お昼頃に小高い丘の上のお寺までたどり着きました。本を紹介しお茶をごちそうになり、いとまごいをして隣家へ向かうと、塀越しに庭で洗濯物を干してるシスターが見えました。シスターが振り向いたので、深々とおじきをすると「何をしていますか」と聞きなれた声が。顔を上げると見慣れた顔があり…。そうです!自分たちの修道院だったのです。

  他にも主税町教会の土曜学校や日曜学校での楽しい逸話がいくつも残っています。たくさんの出会いと恵みに支えられて、本会の働きは広まっていきました。1956 年10 月には新修道院が熱田区鍋弦町に落成し、日比野教会の近くに移転しました。富山、石川の出張訪問宣教の拠点として、また、若い女性の集い「サン・パオリーネ」の召命の場として中心的な役割を果しました。1962 年には名鉄デパートにセントポール

コーナーが開設され、1981 年まで人々と教会の橋渡しに努めました。現在の布池の書院付き修道院になったのは1970 年になります。月日は流れ、社会の発展と技術の進歩によりインターネットという宣教の新たな道も開けました。しかし、会員の高齢化と召命の減少から、名古屋修道院の閉鎖に至りました。

  皆様と直接お会いできなくなるのは残念ですが、インターネットやダイレクトメールによる宣教を通して、引き続き「よい便り」をお届けしたいと思っております。今後もどうぞよろしくお願いいたします。